スナフキンママのライフスタイル

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(完全ネタバレ)『シャングリラ』世界堂書店

完全ネタバレの書評です。

タイトル:シャングリラ

著者:張糸国

評価:3.5

あらすじ:

①おそらく近未来。主人公の杭はまずい中華料理店でチャーハンを食べていた。そこに30年間宇宙旅行に行っていた同級生の趙がやってくる。宇宙飛行士とはいえそれだけで成功者とは言えないほど宇宙と人間との関わりは深くなっていた。杭は自分の家のロボットが料理は下手なのに麻雀がとても上手だと話す。そこで趙は「麻雀は本当に害毒だ」と言い、黒石星の話を始める。

②趙と仲間の宇宙飛行士はある日、黒石星におりたった。そこでは表が黒、裏が白の大きさが様々な石があるだけだったが、仲間の宇宙飛行士はある日彼らが黒い面から太陽エネルギーを吸収する生命体であることに気がつく。また、彼らは石の表面に模様を描き、仲間がそれを取り囲み眺めるということを行っていた。趙は言語学者だったが、それが彼らの詩で、彼らは生粋の詩人であることに気がつく。趙らは石とコミュニケーションを取ろうと努力したが失敗を重ねた。最後に趙は麻雀の道具を彼らに見せ、そのやり方を教え、麻雀牌を置いて黒石星を離れた。

③その20年後、趙と仲間は再度黒石星を訪れた。彼らは麻雀牌となり、社会階級を作り、高度な文明を発達させていた。それだけでなく、彼らは今や石を全て自分たちのように変化させようと企んでいた。趙は今それをなんとか食い止めようとしていると悄然としていた。杭は趙はついに気が狂ってしまったと思った。

④その日の夜、杭は趙がおかしくなったことを友人達に話し、帰宅していた。ふと夜空を見上げて目を疑った。そこにはなんと、月のかわりに真っ赤な中牌が浮かんでいたのだ!また、突然地響きをさせて地中から、黒い石が出てきた。その黒い石には「発財」の文字が浮き上がっていたのだった。

感想:詩人が麻雀を教えた途端麻雀の虜になる。その発想がユーモアに溢れていてとても好きだ。それだけではなく素朴な詩人達の集まりだったのに、麻雀を知り勝ち負けの概念を手に入れた黒石星は階級の概念、支配の概念までもを取り込んだ罪深い生き物に発達してしまう。そして最後、その黒石星の支配は月や地球にまで及んでしまう。ただただ発想力に脱帽する一遍。